2017年1月13日金曜日

旅その2 リフタ 記憶を奪われた村 ―ナクバとは? 


時の政権が仕掛ける不都合な歴史を封印しようとする試み。国は、人の記憶を消すことができるのでしょうか? その問いに物言わぬ疑問符をつきつけているのが、リフタです。

エルサレムの街を北西に抜けてまもなくの場所に残る、破壊されたアラブ人の村の跡。ごつごつした石ころだらけの急な坂道の入り口に立つと山の斜面に点在する石造りの家の残骸が見渡せます。石で囲まれた平たい区画は、段々畑の跡。聖書の時代にまでさかのぼると村の歴史に亀裂がはいったのは、1947年末から1948年にかけてのことでした。

「ナクバ(大災厄)」とパレスチナ人(パレスチナ・アラブ人)が悲嘆を込めて呼び、多くのイスラエル人が「イスラエル独立戦争」と誇らしげに呼ぶ戦争、日本では「第1次中東戦争」と呼ばれるこの出来事が先祖から子孫へと受け継がれていくはずだった時の流れを停めたのです。